連載中の『いくさの子 織田三郎信長伝』などにも見られるように、時にお色気要素のある絵を描くこともある原哲夫。
特にインターネットがなかった時代、幼少期の男の子にとって、マンガのお色気シーンは非常に貴重なものだった……
特にインターネットがなかった時代、幼少期の男の子にとって、マンガのお色気シーンは非常に貴重なものだった……
僕も小さな頃、本当に必死だったよ。池上遼一先生の『I・餓男 アイウエオボーイ』と、本宮ひろ志先生の『俺の空』。もう命がけだった(笑)
原哲夫とて人の子。青年期の興味は、他の男子のそれと変わらない。
マツダ君っていう友達と2人でね、スーパーの本屋さんに行ったなぁ。とにかく池上先生や本宮先生のエッチなコマが見たくて見たくて。
いまは条例もできたし、少年誌で過激な表現は難しくなっているけどね。
仲の良い友人と一緒に本屋に行き、ワイワイと、しかしヒソヒソと、大人向けマンガをチラ見する。青春の1コマが目に浮かぶ。
ちなみにマツダ君は警察官になったんだ。僕と一緒にお色気シーンを必死に見ようとしていたのに、今は取り締まる方になったんだね(笑)
僕もマンガ家になった後、実際に池上先生の作品にコメントを寄せることがあってね。当時の思いを伝えることが出来たんだよ。
数十年の時を経て、憧れの存在にコメントを寄せることになるとは……。人生はどう転ぶか分からないものだ。
今度は原哲夫の作品を“命がけ”で見ようとしているマンガ少年が、いつかマンガ家として成長し、原哲夫との邂逅をはたす日も来るかもしれない。