原少年が通っていた私立本郷高校のデザイン科。実は原哲夫以外にも、大物漫画家を輩出している……。
オレが入っていたのが「漫画劇画部」っていうクラブなんだけど、それを創部したのは、あの秋本治先生なんだ。ボクより10コくらい年上だけどね。で、当時、もう漫画家としてデビューしていた秋本先生が、夏休みに学校に来てくれたの。
しかも「仕事場にも遊びにおいで」って言われて、部活の仲間と一緒に、おジャマしたんだよね。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で知られる大巨匠、秋本治と同じ学校で、同じ部活……。“才能は集まる”という噂は本当なのか。
しかも、原少年、仕事場に遊びに行くだけではとどまらない……
しかも、原少年、仕事場に遊びに行くだけではとどまらない……
その後にね、高校を1日サボって、秋本先生の弟子志願に行ったんだ。仕事場の場所は、クラブのみんなと一緒に1度行ってて、分かっているからね。
その日は、高校を中退する覚悟までして、家を出たんだ。だけどね、場所が分からなかったの(苦笑)。どうしても思い出せなくて、亀有の周辺をウロウロして、けっきょく帰った(笑)
そんな歴史があったとは……。その時、無事に秋本治の仕事場にたどり着いていたら、また違う人生を歩んでいたのかも知れない。
その後、オレもデビューして、秋本先生と対談する機会があったから、その話をしたんだ。学生時代のオレのことは覚えてなかったけどね。
そしたら秋本先生も「高校を辞めて、来てほしかったなぁ」なんて言ってたし、もし、ちゃんと着いていたら、本当に学校は辞めていただろうね。
今の高校生はどうなんだろう。漫画家さんの職場をいきなり訪れたりする子はいるのかな。少なくともオレのところには、ないね(笑)
自分の夢を愚直なまでに追い求める原少年。漫画家への憧れは尽きることなく、その後も、さまざまな体験をすることに。それはまた次回のおはなし。
(その3につづく)