『北斗の拳』の連載終了から30年弱が経った今なお、息子が生まれると「ケンシロウ」と名付ける原哲夫ファンの父親が、日本中に後を絶たないという噂も……。そういえば、原自身の父はどんな人物だったのか。遠い若き日を赤裸裸に語る、特別編のはじまり。
オレのオヤジはね、今でいうところの暴走族なんだ。当時は「カミナリ族」って言ったのかな? 若いころの写真を見ると、ソリコミが入ってて、メンチ切ってるの。もうね、めちゃめちゃ怖かった(笑)
だけどね、そういうキャラだからか、度胸があったんだろうね。オレが子どもの時、まだ横綱になる前の北の湖に、強引に「抱っこしてやってくれ!」ってお願いしてくれたんだよ。オレがここまで出世できたのも、そのおかげかもなぁ……。
昭和の大横綱の一人、北の湖に! 確かに「力士に抱っこされるとよい」と、昔から言われているが……。
法政大学で野球をやっていてね、空手も2段だった。だから、暴走族と言っても、ただの不良みたいな感じじゃなかったんだよ。
正義感のある人でね。よくケンカの仲裁をしていたみたい。
なるほど。見た目は怖くて、力も強いが、実は優しくて、弱い者いじめを許さない。そんな、マンガの主人公タイプの不良なのかもしれない。
そう。本当に仲裁を買ってでることが多かったみたいだよ。家に帰ってきたら、よく拳が血だらけだったもん。
ち、血まみれ?? 仲裁とはいえ、思いっきりやってしまっているではないか……。やっぱりマンガに出てきそうだ。原哲夫ファザー、恐るべし……。